こんにちは、「30歳から学び直す大学入試数学」のChihiroと申します。
このページでは数学Bの「数列」についてお話していきたいと思います。
そもそも数列って何?
数列とは、読んで字のごとく、「数」の「列」です。
数が順番に並んでいればそれはもう数列です。
例えば、
$$ 1,2,3,4,5,6,7,8… $$
のようにパッと見て規則性がわかるようなものも「数列」ですし、
$$ -342, 54, 423.42, -42342, 7.9266, 809652.52, … $$
のような、適当に数字を打って並べたんじゃないの?というような並びも「数列」です。
主に高校数学・大学入試数学では、最初のように「何かの規則に従って並んでいる数列」を扱います。
数列クイズ
TV番組やパズル・クイズ等でこんな問題を見たことありませんか?
$$〇に入る数字はなんでしょう?$$$$1,1,2,3,5,8,〇,21,34,55,〇,…$$
規則性は見つかりましたでしょうか?ヒントは足し算です。
これは”1個前の数字と2個前の数字を足した数が次の数になる”という数列です。
最初は1+1=2 ,次は1+2=3となっていき、一つ目の〇は5+8=13、二つ目の〇は34+55=89となります。
ということで正解は「13」と「89」です
これはフィボナッチ数列と言われ、様々な性質があります。もちろんこれも数列の一種です。
数列の種類は無限にあります。この並びを扱っていくのが「数列」という単元です。
なぜ数列を学ぶの?役に立つの?
数列は実生活でどんな役に立つのでしょうか?いくつかの例を挙げたいと思います。
複利計算の問題
例えば100万円を借金したとします。年利5%(複利法)で100万円借り入れたとき、2年以内で返済するには毎月どれだけお金を返せばいいでしょうか?
・・・みたいなお金の話をするときにいくら返せばいいの?とかどのようにお金が増えていくの?ということを考える場面で数列を使います。
実際には、元金とか利息とか年利率とかいろんなワードがありますが、いったんおいておきます。一番伝えたかったことは「金融の業界にも数列が使われている」ということです。
ちなみに複利計算の数列の実際の問題は「受験の月」様の「複利計算と等比数列の和」に記載されていますので確認しておくと良いかもしれません。
プログラミングの基本
今かなり需要が増えているプログラミングスキル。その中の基本的な部分にも数列の考え方が使われています。
for文、while文や再帰関数といったものは、漸化式の考え方が使われているものが多く、数列の知識があればよりプログラムがスマートに書けるに違いありません。
私はプログラミングについて特段詳しいわけではありませんので、プログラミングに関する漸化式や再帰関数について知りたい方はこちら(なかけんの数学ノート様) など様々なサイトを参考にされると良いと思われます。
何番目の数字が何かを知りたい!
もう少し数学的な話をします。
例えば、「1番目の奇数は1です。2番目の奇数は3です。では、258番目の奇数はなんでしょう?」という問題があったとします。どうやって求めますか?
一つ一つ奇数を書き出していくのも手段の一つであるとは思いますが、258番目なんてものすごく遠いですし、手間がかかります。そんなことに時間を割くならもっと他の楽しいことに時間を使いたいですよね?時間は有限なのですから。
そこで、「何番目の数字は何かを数式で表そう」というのが、数列の本質にあります。
ちなみに奇数は$a_n=2n-1$で表され、$n=258$を代入したら515が出ます。つまり258番目の奇数は515となります。
ではこんな問題はどうでしょうか?
$$1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,…$$ $$この順番で数字が並んでいるとき、21番目に出てくる数字は何でしょう?$$
さっきのフィボナッチ数列の問題です。11番目の数字が89と出ているので、21番目の数字であれば、あと10個気合で足していけば何とか答えは出ます。
ですが、さっきの奇数の問題みたいに「$n=21$」と代入すれば数がきちっと出てくるような数式があればいいなと思いませんか?
そのような式は「一般項」を求めることで導くことができます。
ではどうやってその一般項とやらを求めるか、それを学ぶのがこの「数列」の単元です。
おまけ ~21番目の項数~
先ほどのフィボナッチ数列ですが、一般項は以下のような形になります。
a_n=\dfrac{1}{\sqrt{5}} \left\{ \left(\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}\right)^n-\left(\dfrac{1-\sqrt{5}}{2}\right)^n \right\}
このnに21を代入すれば 正解が求まります。答えは10946です。
先程「数がきちっと出てくるような数式があればいいなと思いませんか? 」と言いましたが、n=21を代入してルートの入った計算の21乗なんかやってられるかって話ですよね。私もそう思います。フィボナッチ数列に限って言えば、いちいち足して計算していった方が圧倒的に早いです。
ですがこのフィボナッチ数列にはいろんな性質があり、大学入試数学でも扱われることがあります。三項間漸化式、階差数列、互いに素な隣項、黄金比などなど・・・。また別途で扱いたいと思います。
数列の他単元との繋がり
数列分野は、大学入試数学では単体で問題が出ることももちろんありますが、他単元との繋がりも深い分野です。
・確率(数学A)と融合した「確率漸化式」
・極限(数学III)を用いた数列の極限
が大学入試数学で出てくる主な数列の融合分野ですが、logや三角関数、整数や二次方程式の解などを利用したものなど、応用されて出題されることも時折あります。数列に限らないですが、多単元もしっかり学んでおくことが大切です。
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